買った投資信託が下がったら?

ファイナンシャルプランナーの竹川先生に、「買った投資信託が下がった時の対処法」について解説していただきました。ファイナンシャルプランナーの竹川先生に、「買った投資信託が下がった時の対処法」について解説していただきました。

竹川美奈子氏プロフィール

竹川 美奈子(たけかわ みなこ)氏LIFE MAP, LLC代表

出版社や新聞社などを経て独立。2000年ファイナンシャル・プランナー資格取得。書籍やマネー関連の雑誌、新聞などで幅広く取材・執筆活動を展開する一方、企業のマネープランセミナー、投資信託・ETF(上場投信)セミナー等の講師などを務める。投信やETFを活用し長期的な資産形成を考える個人投資家の交流会「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」発起人の1人でもある。主な著書に『投資信託にだまされるな!2010年最新投信対応版』『あなたのお金を見える化しなさい』(ともにダイヤモンド社)、『3000万円をつくる投資信託術』(朝日新書)などがある。

投資をしていると、2008年のリーマンショック、2011年の欧州債務問題などのように、短期的に株価が大きく変動することもあります。

こうしたときに怖くなってやってしまいがちなのが、以下の2つです。

しかし、これらは必ずしもよい選択とはいえません。

下がっているとき解約してしまうと、「損」を確定させることになってしまいます。下がったときに積立を中断するのも得策ではありません。「暴落時はたくさんの口数を購入できる=平均購入単価を下げられる」という作用が働くわけですから、むしろ下がった時こそ「継続する」ということが大切になってきます。もっとも、1つの国・地域などに集中投資していると10年間下がりっぱなしという場合もあります。あくまでも国際分散投資をしているというのが継続の前提です。

では、このような不確実性の高い時期にどのように対応したらよいでしょうか。

値下がり幅を抑えるために分散投資を徹底

最近は分散投資をしていても「下がるときには一緒に下がるではないか」という声もきかれます。たしかに、暴落時などは地域や資産を分散しても同じ方向に動くことが多くなりました。けれど、1つの会社や1つの国に集中投資をするのに比べたら、値下がり幅は限定的です。この「なるべく下がらない」ということは非常に大切で、その後に相場が回復したときに元本を回復できるかどうかのカギを握っています。

たとえば、投資していた100万円が暴落によって50%下落し、半分の50万円に減ったとしましょう。このあと、値下がり幅と同じ50%上昇してもお金は75万円にしかなりません。100%上昇(=2倍)にならないと100万円には戻らないのです。

国内外の株式・債券に同額ずつ分散投資をしていた場合、リーマンショック時に約30%値下がりしましたが、この場合は約1.4倍の上昇で元本を回復できます。一方、集中投資ではどうでしょうか。例えば、先進国株のインデックス投信の場合、約55%下落したため、元本回復には約2.2倍の上昇が必要です。約70%下落した、ある新興国1国に投資する株式投信だと約3.3倍に上昇する必要があります。

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リーマンショック時の例
分散投資 集中投資
国内外の
株式・債券
先進国株の
インデックス投信
ある新興国1国に
投資する株式投信
値下がり幅 ▲30% ▲55% ▲70%
元本回復に必要な
値上がり幅
約1.4倍 約2.2倍 約3.3倍

このように、相場回復後を考えると「値下がり幅が小さい」ほうが有利に働くのです。

また、自然災害やテロ、企業の不正行為などは、いつ、どこで起こるかわかりません。大打撃を受けないためにも、資産形成の核となる部分については「日本だけでなく、海外も」、海外は「先進国だけでなく、新興国も」という具合にグローバルに分散しておく必要があるでしょう。

ルール化する

感情で考えてしまうと、暴落時には怖くなって「解約してしまいたい」と考えがちです。そこで、投資の目的や運用期間、おおよその目標額などを確認したら、あとはルールを決めて、それを淡々と実行するのがいちばんです。たとえば、1年に1回時価をチェックし、当初決めた比率から大きくずれていたときにだけ、配分が元に戻るように調整する(リバランスといいます)。それ以外は積み立てを実行する――など、自分なりのルールを決め、あとは淡々と実行しましょう。

投資に充てていいお金をすべて投資に回してしまうのではなく、ある程度の現金を手元に残しておくという方法もあります。そして、大きく下がったときに投信を買い増すのです。そうすることで、購入単価を下げることができます(こちらは投資に慣れてきた人向けです)。

いずれにしろ、暴落してから考えていては遅いので、「こういう場合はこうする」というルールを先に決めておくことが非常に大事です。

投資の目的、期間、資産配分を再確認

最後に、長期の運用に耐えられる資産配分を決めて、みだりに方針を変えないということが大切です。下げ相場でもっとも避けたいのは、損を取り返そうと思うあまり、普段だったら絶対に選ばないような金融商品に手を出したり、ことさらにリスクを高めてしまったりすることです。相場には波があります。いいときも、悪いときもマイペースで続けていけるだけの「投資金額」「資産配分」「商品選び」を心がけましょう。

運用状況の確認方法

運用報告書

購入した投資信託の運用状況については、「運用報告書」で知ることができます。

法改正により、2014年12月以降に作成期日を迎える投資信託の運用報告書は、旧来の運用報告書とほぼ同様の内容となる「運用報告書(全体版)」と、重要な事項について記載した「交付運用報告書」の2種類が作成されます。
運用報告書は、原則決算期ごとに作成されますが、毎月分配型投資信託のような、短期間(計算期間が6ヶ月未満)で決算を行う投資信託については、6ヶ月に1度作成されます。

当社ではファンド詳細ページやお取引画面にて運用報告書を電子交付しておりますので、基準価額や純資産残高の推移、今後の運用方針などを定期的に確認し、必要に応じて見直しをすることをおすすめします。

トータルリターン(総合損益)

2014年12月より、投資信託のトータルリターン通知制度が導入されました。本制度は、お客さまが保有されている投資信託について、投資期間全体(購入時から算出基準日まで)の累積分配金を含む累積損益(トータルリターン)をわかりやすくお伝えすることを目的としています。

当社では取引画面にログイン後「残高・照会」よりトータルリターンをご確認いただけます。

トータルリターン(総合損益)は、投資開始日以降に受け取った売却代金や分配金を含めて計算した損益で、お預り状況一覧の評価損益とは異なります。(総合損益=評価金額+受取金額累計−投資金額累計)

トータルリターン照会は、口座区分やコースに関係なくファンドごとに計算を行っています。同一ファンドを複数の口座区分や複数のコースで保有している場合、お預かり状況照会とトータルリターン照会の評価金額は、端数処理の関係上、数円程度差異が生じることがあります。また、お預かり状況照会は約定日ベース、総合損益一覧は受渡日ベースで表示しておりますので、ご注文後の数日間は評価金額に差異が生じることがあります。

トータルリターン照会に記載された金額は、確定申告などの税額計算で使用することはできません。

トータルリターン情報の更新は、受渡日の翌日からとなります。

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